BLOG 沼津市足高で築50年の別荘をリノベーション|2,000万円・RC造・温泉のような浴室

項目 内容
現場エリア 静岡県沼津市 足高(沼津ゴルフクラブ近く)
施主様 T様
施工内容 別荘リノベーション工事(フルリノベーション)
施工期間 約3ヶ月(1月〜4月上旬)
金額 約20,000,000円(税込)
構造 RC造(内装は木造仕上げ)
築年数 50年超

はじめに ── 築50年超の別荘を「温泉のような場所」へ

静岡県沼津市足高にある、築50年超・RC造の別荘をまるごとリノベーションしました。工事金額は約2,000万円、工期は3ヶ月。施主様のご希望は「ユニットバスではなく温泉のような浴室」「できる部分はDIYで関わりたい」というものでした。

当社は、ただ新しくするのではなく、元の建物の良さを残しながら、次の何十年も気持ちよく使える別荘に整えることをテーマに進めています。

今回の現場がある沼津市足高は、駿河湾・愛鷹山・富士山を望む丘陵地で、すぐ近くには27ホールの沼津ゴルフクラブがあります。東京から東名高速道路で1時間弱、新幹線三島駅からも車で20分ほどと、首都圏からの別荘地として非常にアクセスの良いエリアです。
そのため、ゴルフや週末の保養を目的に別荘を構えられる方も多く、当社にも「古い別荘を今の暮らしに合わせてリノベーションしたい」というご相談が定期的に寄せられます。

ただ、沼津市足高のような別荘地でのリノベーションには、一般住宅とは少し違う注意点があります。
使用しない期間が長いことによる湿気の滞留、冬と夏の温度差、長期不在による設備への負担、そして築年数の経った建物特有の下地や配管の劣化。これらをきちんと前提に置いて工事を進めないと、完成直後はきれいでも、数年後に不具合が出てしまうことが少なくありません。

記事はかなりの長文になります。できるだけ工事の流れに沿って、どこで何を判断したか、なぜその選択をしたかを順にお伝えします。

沼津エリアで別荘のリノベーションを検討されている方はもちろん、これから中古別荘の購入+リノベーションを考えている首都圏の方にも、参考にしていただける内容にしたつもりです。

この記事で分かること

  • ・築50年超のRC造別荘を、壊さずに活かすリノベーションの全工程
  • ・ユニットバスではなく在来工法で「温泉のような浴室」を実現した理由と方法
  • ・床を約20cm上げたことで得られた、断熱・配管・将来メンテナンス性の改善
  • ・ヒノキと十和田石の浴槽、さくらの無垢床、焼杉外壁など素材選びの考え方
  • ・別荘ならではの湿気・温度差・長期不在への備え方
  • ・冬場の寒波も含めた現場判断と、安全を優先した工程管理

解体編 ── 見えない部分をしっかり整える

リノベーションで一番大切なのは、完成後のきれいな仕上がりではなく、その手前の「解体と確認」の工程です。床・壁・天井をめくってみて初めて、どこを残しどこを直すかが見えてきます。特に築50年を超える別荘では、見た目は大丈夫でも内部で劣化が進んでいることが多く、ここでの判断が今後の寿命を左右します。

解体前 ── まずは現状を正確に把握する

解体前 全景

まずは建物の全景から。築年数は50年を超えており、長い年月を経てきた建物ならではの雰囲気が残っています。構造はRC造ですが、外部・内部ともに仕上げは木造でつくられており、当時の別荘建築らしい特徴がよく残った建物でした。

古さはあるものの、建物自体にはまだまだ活かせる部分も多く、今回は「壊して新しくする」のではなく、「今ある建物を活かしながら、快適に使える別荘へ再生する」という方針でリノベーションを進めていきました。

施主様からのご要望 ── DIYとの協働

施主様からは最初に、「できる部分は自分でもDIYを取り入れたい」というお話をいただきました。

すべてを業者側で完成させるのではなく、安全性や性能に関わる部分はプロがしっかり施工し、仕上げや一部の作業は施主様が楽しみながら手を加えていく。このバランスを取ることが、今回のリノベーションの大きなテーマのひとつでした。

内部の状態 ── 古さだけでなく「今の基準」との差

解体前 リビング
解体前 暖炉

内部を見てみると、全体的にしっかり年季が入っていました。別荘らしい雰囲気はあるものの、設備や性能面では現在の基準と大きな差があります。

具体的には、以下のような課題が見えていました。

  • ・全体的に古く、内装が傷んでいる
  • ・防水処理がほとんど入っていない
  • ・断熱材が入っていない、または薄い
  • ・水まわり設備が当時のまま

この状態で表面だけきれいにしても、根本的な改善にはなりません。一時的に見た目が良くなっても、数年後には再び不具合が出てきます。だからこそ、見えない部分までしっかり確認し、必要なところは手を入れることが重要になります。

別荘ならではの注意点

別荘は普段の住まいと違って、使用しない期間があるのが特徴です。毎日使う住宅なら自然に空気が動きますが、長期間閉め切った状態が続くと、室内の湿気が抜けにくくなり、カビの発生や木材の劣化につながることがあります。

そのため今回の工事では、単に新しくするだけでなく、「長く安心して使える環境を整えること」を大切にしながら進めました。湿気・温度差・長期不在という別荘特有の条件を、工事内容にきちんと落とし込むことがポイントになります。

水まわり ── 表面では分からない劣化

解体前 キッチン

キッチンも当時の設備がそのまま残っていました。使うこと自体は可能ですが、今の生活スタイルで考えると、使いにくさ、収納の少なさ、掃除のしにくさといった不便さがありました。

そして水まわりで注意が必要なのは、表面より配管や下地です。長年の使用で、配管の接続部や床下の木材が湿気を含み、徐々に傷んでいることが少なくありません。解体してしっかり状態を確認する工程が、ここではとても重要になります。

解体前 浴室水栓
解体前 浴室 天井
解体前 浴槽

浴室は、特に改善が必要な場所でした。昔ながらの浴室で、断熱材がほとんど入っていない構造のため、冬場はかなり寒かったはずです。防水性能も現在の仕様とは異なり、水が染み込みやすい、下地が傷みやすい、カビが発生しやすいといったリスクを抱えていました。

在来浴室の場合、防水処理の精度がそのまま建物の寿命に直結します。防水が不十分なまま年月が経つと、水分が下地へ浸透し、木材の腐食やコンクリートの劣化につながります。今回は防水工程を特に重要視し、複数の工程を重ねながら丁寧に施工する計画としました。

解体前 小便器
解体前 トイレ

トイレも昔の設備がそのまま残っていました。現在のトイレと比べると、節水性能が低い・掃除がしにくい・使い勝手が悪いといった点があり、長く使っていくなら設備の更新が必要な状態でした。

トイレは使用頻度が高い分、小さな不具合が大きなストレスにつながります。設備の更新だけでなく、配管の位置や床の状態も含めて、総合的に見直していきました。

築50年超の建物で欠かせないこと ── アスベスト調査

今回のような年代の建物では、もうひとつ重要な確認項目があります。それがアスベスト調査です。この時代の建物は、外壁材や内装材、下地材などにアスベストが使用されている可能性があり、現在では事前調査が義務付けられています。安全に工事を進めるためにも、解体前のこの確認は欠かせません。

解体工事 ── 床・壁・天井を開けて建物を「健康診断」する

解体中 天井
解体中 床

いよいよ本格的な解体工事です。解体は単に壊す作業ではなく、建物の健康診断のような工程でもあります。床・壁・天井を一つずつ開けていくことで、これまで隠れていた構造や設備の状態が明らかになっていきます。その結果次第では、当初の計画を微調整することも少なくありません。図面通りに進めるだけでなく、実際の状態を見ながら判断していく。これがリノベーション工事の特徴です。


解体中 水道管

今回の現場で重要だったのが、配管の確認です。築年数が経過している建物では、水道管や排水管が当時のまま残っていることが多く、見た目では問題がなくても、内部で劣化が進んでいることがあります。特に金属製の配管は、長年の使用で内部が腐食し、水圧の変化や温度差で突然破損することもあります。

写真の配管は、天井裏から各部屋に温水暖房の配管が伸びていたようです。現状は使っていない設備でしたが、図面が残っていないため、一本一本確認しながら慎重に解体を進めました。

こうした「使われていない設備」が残っているのは、古い建物では決して珍しいことではありません。ただ、そのまま放置すると、新しい設備との干渉や、将来の漏水の原因になります。不要な配管は確実に撤去し、必要な部分だけを整理していく必要があります。

解体中 キッチン②
解体中 キッチン

キッチンまわりの解体も進めていきます。床下の状態、下地材の傷み、配管の取り回し、断熱材の有無、床束の状態、湿気の影響。こうした部分は、解体して初めて見えるものがほとんどです。今回の現場でも、床下を確認したところ、部分的に湿気の影響を受けている箇所が見つかりました。
すぐに危険な状態ではありませんでしたが、このまま仕上げてしまうと、将来的に床鳴りや沈み込みの原因になる可能性がありました。そこで必要な部分は補強を行い、下地の状態を整えてから次の工程へ進んでいます。

解体が進むと見えてくる「建物の骨格」

解体後 玄関

解体が進むと、建物の骨格が少しずつ見えてきます。仕上げ材が取り外され、下地や構造部分が現れることで、建物の造りがはっきり分かるようになります。今回の建物はRC造でありながら、内部の仕上げは木造。一般的な木造住宅とも、RCマンションとも少し違う構造です。こうした建物では、構造・下地・納まり・固定方法の確認が非常に重要になります。

今回の解体工事を通して改めて感じたのは、見えない部分こそが建物の寿命を左右するということです。仕上げをきれいにすることも大切ですが、それ以上に重要なのは、構造・下地・断熱・防水・配管といった基本部分をしっかり整えること。ここが今回の工事全体を支える土台になりました。

浴室・脱衣室編 ── 「温泉のような空間」を在来工法で

今回のリノベーションで、施主様が一番こだわられたのが浴室と脱衣室でした。最初の打ち合わせから「ユニットバスじゃなくて、温泉みたいなお風呂にしたい」というイメージがはっきりしていたため、工期や施工の安定性に優れるユニットバスを選ばず、在来工法(タイル・造作)で空間そのものから作り込んでいきました。

なぜユニットバスではなく在来浴室を選んだのか

一般的な住宅リフォームでは、工期の短縮や品質の安定、コストの見通しやすさから、ユニットバスを選ぶケースが多くなります。ユニットバスは工場で製造された部材を現地で組み立てる方式で、防水性能が安定しており、施工手順も確立されているため、確実で優れた選択肢です。

ただ今回は、別荘という性質と、既存の構造・空間寸法の独自性がありました。現地で実測を重ねる中で、「既製品の寸法に合わせて空間を制限するよりも、現地の寸法を最大限に活かしたほうが、この建物には価値が高い」と感じたのです。浴室については、限られたスペースの中でも少しでも広さを確保したいというご要望があり、既製サイズのユニットバスでは数センチ単位の余白や制限がどうしても出てしまう可能性がありました。

そこで今回は、現地寸法を最大限に活かすことができる在来工法を選択しました。在来工法は、現場ごとに寸法を調整しながら施工できるため、空間の有効活用という点で自由度がとても高い工法です。また、断熱材の配置、配管経路、防水処理の方法なども現場に合わせて柔軟に設計でき、長期的なメンテナンス性や耐久性の面でもメリットがあります。

防水工程 ── 在来浴室で一番気を使う作業

在来浴室で一番重要なのは、とにかく防水です。ここが甘いと後々のトラブルに直結するため、見えなくなる部分ですが、一番気を使う工程でもあります。

浴室 防水①
浴室 防水②
浴室 防水③
浴室 防水シート

床・立ち上がり・配管まわりまで、防水処理を何度も重ねていきます。防水は一度施工して終わりではなく、複数の層を重ねることで信頼性を高めていくのが基本です。この工程を省略したり、乾燥時間を十分に取らなかったりすると、数年後に漏水や下地の腐食につながる原因になります。ユニットバスと違って一から作り上げる浴室だからこそ、ここが肝心です。

浴槽 ── ヒノキ+十和田石、200kg超の搬入

浴室 石和田の風呂 搬入

今回の最大のポイントが、浴槽です。使用したのはヒノキ+十和田石の高級浴槽。温泉施設などでも使われる素材で、見た目だけでなく、保温性・耐久性・肌触り・香りの面でも優れた特徴があります。

それぞれの素材の特徴は次の通りです。

  • ヒノキ ── 日本の建築文化の中で長く使われてきた材料。防虫性や耐水性に優れ、香りにはリラックス効果があるとされる
  • 十和田石 ── 多孔質の石材で、適度に水分を吸収しながら表面を乾燥させる性質がある。滑りにくいため、温泉施設などでも広く使われている

そしてこの浴槽、重さは200kg超。とにかく重い。搬入は本当に大変で、職人みんなで慎重に運び込みました。搬入経路の確認、床の養生、持ち上げる人数の配置、すべてを事前に計画してから作業しています。正直、今回の工事で一番気を使った作業のひとつです。

完成した浴室 ── 黒い壁と間接照明の落ち着いた空間

浴室 壁 完了
浴室 完了

完成した浴室は、床はタイル仕上げ。タイルは耐水性や耐久性に優れ、水まわりにはとても適した材料です。壁はフクビのバスパネルを採用しました。水に強く、清掃性が高く、耐久性もある、在来浴室との相性が良い仕上げ材です。ただし正面の一面だけはマグネットパネルに変更しています。棚や小物を自由に取り付けられる、位置を簡単に変えられる、壁に穴を開ける必要がない、といったメリットを狙った仕様です。

デザイン面では、黒仕上げの壁に間接照明を合わせています。光が直接目に入らないため、柔らかく落ち着いた雰囲気が生まれ、夜の時間帯にはまさに温泉のような静かな空間になります。もちろん快適性もしっかり確保しています。浴室暖房機を設置しているので、冬でも暖かく、ヒートショック対策にもなります。別荘は久しぶりに訪れたときに寒暖差が大きく感じやすい場所でもあるため、こうした設備の有無は安心感に直結します。

キッチン編 ── Ⅱ型レイアウトで「集まれる場所」に

生活の中心になる空間がキッチンまわりです。「ただ料理をする場所ではなく、人が集まって過ごす場所としてしっかり作り込みたい」という施主様のご要望を受けて、グラフテクトのⅡ型(セパレート型)キッチンを採用しました。

なぜⅡ型キッチンを選んだのか

キッチンは、食事をつくる場所という役割だけでなく、家族や来客が自然と集まり、会話が生まれる場所でもあります。特に別荘の場合は、日常の忙しさから離れてゆっくり過ごす時間が中心になるため、キッチンの居心地や使い勝手が、滞在全体の満足度に大きく影響します。

Ⅱ型キッチンは、見た目がおしゃれという印象を持たれがちですが、実は非常に実用的なレイアウトでもあります。シンクとコンロが分かれていることで作業スペースを広く確保でき、複数人で同時に作業しても動線が重なりにくい、というメリットがあります。調理中の動きが自然に分散されるため、キッチン全体に余裕が生まれ、料理をする人も手伝う人も動きやすくなります。

キッチン 完成

完成したキッチンは、落ち着いた色合いの面材にシンプルで無駄のないデザイン。派手さはありませんが、長く使っても飽きのこない、いい雰囲気に仕上がっています。

床のレベル調整 ── 見えないけれど一番大変だったこと

このキッチンで、見た目以上に苦労したポイントが、実は床のレベル(高さ)でした。

キッチン 配管通し
キッチン 配管通し完了

既存の床を解体してみると、想像以上に高さのばらつきがあり、正直かなり厳しい状況でした。古い建物では珍しくないとはいえ、今回の現場は特にレベルの狂いが大きく、そのまま仕上げると次のような問題が起きる状態でした。

  • キッチンの据え付けに影響が出る
  • 床材の仕上がりが不自然になる
  • 家具の設置に支障が出る


床の高さは、見た目以上に重要な要素です。数ミリの差でも、タイルや設備を設置したときに段差として現れることがあります。今回は単に床を直すのではなく、建物全体のバランスを見ながら高さを調整していく必要がありました。下地の調整をしながら、一つひとつ高さを確認し、慎重に作業を進めています。

タイル仕上げの床 ── ごまかしがきかない素材

今回の仕上げはタイルです。見た目がきれいで、耐久性も高く、水や汚れにも強い。とても優秀な床材ですが、その分ごまかしがききません。少しでも高さが狂っていると、段差が出たり、割れが発生したり、仕上がりが不自然になったりします。そのため一枚一枚、微調整しながら納めていきました。

熱機器まわりはホーローパネル ── 掃除の負担を減らす

コンロやオーブンなど、熱がかかる場所はどうしても汚れやすく、傷みやすい場所でもあります。そこで今回はホーローパネルを採用しました。ホーローは金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けた材料で、非常に硬く耐久性に優れています。

  • 汚れが落ちやすい
  • 熱に強い
  • 水に強い
  • マグネットが使える(マグネット収納を取り付けられる)


日々の掃除がかなり楽になり、長期間きれいな状態を保てます。別荘は久しぶりに使うときでもすぐに気持ちよく使えることが大切なので、こうした清掃性の高さは大きな価値になります。

分電盤を「隠しつつ点検できる」造作で納める

キッチン 分電盤前 造作

もうひとつ悩んだポイントが、分電盤です。既存の位置にしっかり存在感のある分電盤があり、そのままだと見た目のバランスが崩れてしまいます。とはいえ埋め込まれたタイプのため、簡単に移設できるものでもありません。そこで今回は、「隠しつつ点検できる」という条件を満たす造作で対応しました。見た目はすっきりさせながら、いざという時にはしっかりアクセスできる。地味ですが、長く使うにはとても大切な部分です。

リビング編 ── RC造に下地を組み、床を20cm上げる

今回のリノベーションで、一番「雰囲気が変わった」と感じていただけるのがリビングです。ポイントは、RC造ならではの下地づくり(スクリューパッキン工法)、床を約20cm上げたこと、そして既存の暖炉を活かしたこと。見た目の変化は大きいのですが、それを支えているのはすべて「見えない部分」の工事です。

RC造の壁に直貼りをしない ── スクリューパッキン工法

今回の建物はRC(鉄筋コンクリート)造のため、通常の木造住宅とは違う施工方法が必要になります。木造なら柱や間柱に直接ビスを打ち込み、下地材を固定できますが、RCの場合はそう簡単にはいきません。コンクリートは非常に硬く、湿気や結露の影響も受けやすいため、直接材料を固定してしまうと、仕上げ材が浮く・湿気がこもる・カビや劣化の原因になる、といった問題につながります。

そこで採用したのが、スクリューパッキン工法です。


壁 スクリューパッキン

スクリューパッキンとは、コンクリートと下地材の間に一定の隙間を確保するための部材です。この部材を使うことで、以下の効果が期待できます。

  • 壁の通気性を確保する
  • 湿気対策になる
  • 結露を防ぐ
  • 仕上げ材の耐久性を高める
壁下地

スクリューパッキンを一定の間隔で取り付け、その上に木下地を組んでいくことで、しっかりとした施工面を作り上げていきます。完成すると隠れてしまう部分ですが、この下地の精度が最終的な仕上がりの美しさや耐久性を大きく左右します。いわば、壁の骨組みを整える大切な工程です。

この隙間があることで、壁内に断熱材を施工することが可能になり、室内の温度環境の安定にもつながります。将来的に配線を変更したり設備を追加したりする際にも、壁を大きく壊すことなく対応できる可能性が高まります。見た目にはほとんど分からない部分ですが、建物の性能や使い勝手に大きく関わる施工のひとつです。

天井の煤汚れと、下げ天井の間接照明

リビング 天井 左官補修

まずはしっかりと下地処理を行い、表面の汚れを落としながら補修を進めました。この工程を丁寧にやらないと、後から仕上げた塗装やクロスにシミが浮き出てしまうことがあります。特に煤は非常に細かい粒子で構成されているため、表面を軽く拭き取るだけでは完全には除去できません。下地材の状態を確認しながら、必要に応じて削り取りや補修を行い、仕上げ材がしっかり密着する状態をつくっていきました。


リビング 天井おり下げ
リビング 塗装



下地が整ったところで、天井の仕上げに進みます。今回のリビングの大きなポイントのひとつが、天井の段差(おり下げ天井)です。天井に段差を設けることで空間に立体感が生まれ、視覚的にもメリハリのある空間になります。さらにその内部には間接照明を仕込みました。直接光が見えないため、柔らかく落ち着いた光が広がり、夜の時間帯にはとても雰囲気の良い空間になります。

床を約20cm上げるという判断

リビング床解体

今回の工事では、既存の床を一度解体し、構造を確認した上で新しく作り直しています。そしてここで大きな変更を行いました。それが、床の高さを約20センチ上げるという施工です。

この高さ調整には、いくつか明確な理由があります。

1. 断熱性能をしっかり確保するため

床下に十分な断熱材を施工するためには、一定の空間が必要です。既存の床のままでは、そのスペースを確保するのが難しい状況でした。別荘のように温度差を受けやすい建物では、ここに余裕を持たせることが快適性につながります。

2. 設備配管を整理するため

古い建物では、配管が複雑に入り組んでいることがあります。床を上げることで配管スペースを確保でき、将来的なメンテナンスがしやすい構造になります。

3. 空間にメリハリをつけるため

別荘という空間では、完全にフラットな床よりも、少しの高低差があったほうが空間の区切りが自然に生まれます。結果として、リビングの床を上げたことで、くつろぐ場所としてのまとまりが生まれ、簡易的なベンチのようにも使える心地よい段差になりました。

タイルと無垢フローリング ── 異素材の境目を納める

リビング フローリングタイル境界

暖炉の前はタイル、その周囲は無垢フローリング。この境界部分は、見た目以上に難しい施工です。石と木は素材としての動き方が違うため、納まりをしっかり考えないと、割れ・浮き・隙間の原因になります。特に無垢材は、湿度や温度の変化によって伸び縮みする性質があります。一方でタイルはほとんど動きません。そのため両者の間には、適切な逃げ(クリアランス)を確保する必要があります。


リビング 無垢フローリング並べ

今回採用した床材は、さくらの無垢フローリングです。無垢材は一本一本表情が異なり、時間が経つほどに味わいが出てきます。別荘のようにゆっくりと時間を過ごす場所には、とても相性の良い素材です。素足で歩いた時の感触も良く、冬でも冷たさを感じにくいという実用的なメリットもあります。

愛猫のための下地準備 ── キャットウォークをDIYで

リビング キャットウォーク予定地

施主様は大変な愛猫家で、将来的にキャットウォークをDIYで設置したいというご希望がありました。そこで今回は、その計画を見据えて、下地をしっかり準備しています。通常の壁のままでは、後からキャットウォークを取り付けるのが難しい場合があるため、今回はMクロス(合板下地)をあらかじめ施工しました。これにより、どの位置でも固定でき、荷重に耐えられ、施工が安全にできる状態をつくっています。

暖炉編 ── 既存の良さを塗装で再生する

リビングの中でも、今回の工事で特に印象的だったのが暖炉の存在です。昔ながらの本格的な暖炉で、石張りの重厚感があり、この家の象徴ともいえる設備。新しく作り替えるのではなく、ケレン(下地処理)と塗装でよみがえらせることを選びました。


別荘という空間において、暖炉は単なる暖房器具ではなく、空間の中心に据えられる存在です。滞在する時間そのものを特別なものにしてくれる設備でもあります。ただ、長年使用されてきたことで、表面の塗装が傷んでいたり、色味が少し古く感じられる状態になっていました。そこで今回は、この暖炉の雰囲気を活かしながら、塗装によって再生させる工事を行っています。

ケレン作業 ── 地味だが仕上がりを決める工程

暖炉 塗装ケレン

まず最初に行ったのが、表面の下地処理です。塗装はただ上から色を塗ればいい、というものではありません。既存の汚れや古い塗膜を落とし、しっかりと塗料が密着する状態を作ることが大切です。この工程を「ケレン作業」と呼びます。手作業で丁寧に表面を整え、古い塗膜や汚れを落としていく。地味な作業ですが、この工程を省いてしまうと、塗装が剥がれたりムラが出たり、仕上がりが長持ちしない、といった問題につながります。

塗装 ── 艶を抑え、深みのある色に

暖炉 塗装
暖炉 タイルに沿って

下地が整ったところで、いよいよ塗装に入ります。今回の仕上げは、艶を抑えつつも、しっかりと存在感が出る色味を選びました。黒に近い落ち着いた色ですが、単なる真っ黒ではなく、少し深みのある重厚な色合いです。この色によって暖炉全体がぐっと引き締まり、空間の印象も大きく変わりました。

暖炉 塗装完了

最終的な仕上がりがこちらです。以前の雰囲気を残しながら、ぐっと引き締まった、重厚感のある暖炉に生まれ変わりました。新しく作り替えるのではなく、今あるものを活かしながら整えていく。これもリフォーム・リノベーションの大切な考え方のひとつです。

洗い出し床・玄関編 ── 大きめの石と間接照明で、モダンに

リビング横の洗い出し床は、今回の空間の中でも特に印象的な仕上がりになった場所です。少し大きめの石を使うことでモダンな印象に、そして間接照明を加えることで夜には違う表情を見せる空間になりました。

洗い出し床 荒打ち
洗い出し床 荒打ち

まずはコンクリートを打設し、ベースとなる下地を作っていきます。この段階ではまだ無機質な表情ですが、ここから一気に雰囲気が変わっていきます。

洗い出し床 石撒き

今回の洗い出しでは、少し大きめの石を使用しています。一般的な細かい砂利ではなく、存在感のあるサイズの石を選ぶことで、よりモダンでしっかりとした印象の床になります。

異素材の境目 ── ミリ単位の高さ調整

洗い出し床 タイル境界

洗い出し床とフローリング。素材も厚みも違うため、この境目はとても難しい部分です。高さをミリ単位で調整しながら、見た目と安全性の両方を考えて、丁寧に仕上げています。このラインがきれいに決まると、空間全体が引き締まります。

間接照明で、夜にまったく違う表情を

洗い出し床 ライトアップ
床のラインに沿って、やわらかい光が広がることで、昼とはまったく違う表情になります。直接光が見えないため落ち着いた雰囲気になり、夜の時間がとても心地よい空間になりました。

隠しコンセント ── 床下の空間を活かす工夫

リビング 隠しコンセント

今回の工事では、床内部の空間を活用して、コンセントを目立たない形で設置する工夫も行いました。通常、コンセントは壁面に設置されますが、家具の配置や空間のデザインによっては、見た目に影響を与えてしまうことがあります。特に今回のように無垢材を使用した内装では、余計な設備ができるだけ目に入らないようにしたい、という思いがありました。

そこで、床内部の空間を利用して「隠しコンセント」を設置することとしました。普段は床面と一体化したフタで覆われており、使用するときだけ開けてコンセントを利用できる仕組みです。こうした施工を行うためには、床下に十分な空間が確保されていることが前提になるため、先ほどの置床工法との相性も非常に良いと言えます。

外壁・屋根編 ── 補修を基本に、二面の焼杉でアクセントを

今回の工事では、内部だけでなく外部にもしっかり手を入れています。別荘は常に人の気配がある建物ではないため、外壁や屋根の小さな不具合に気づくのが遅れやすく、気付いた頃には想像以上に傷みが進んでいることもあります。補修を基本にしながら、二面の焼杉でアクセントを加え、長く安心して使える外装に整えました。

屋根 ── 板金補修で「今直す」判断

まず屋根についてですが、既存の屋根は全体として大きく崩れているわけではありませんでした。しかし細部を確認していくと、板金まわりに傷みがあり、このまま放置すると今後の雨仕舞いに不安が出てくる状態でした。


屋根は、家の中でもっとも過酷な環境にさらされている部分です。夏の強い日差し、冬の冷え込み、風雨、落ち葉、湿気。それらを毎日受け止めているため、表面上はまだ大丈夫に見えても、取り合い部分や端部では少しずつ負担が蓄積しています。

板金補修というと、単純に金属を当てて終わり、のように聞こえることもありますが、実際はそう単純ではありません。既存の屋根材との納まり、雨水の流れ、風の巻き込み、固定方法、防水処理、こうした要素がすべて関わってきます。特に古い建物では、当時の施工方法と現在の施工基準が異なるため、元の形にただ戻せば良いわけではありません。今回も、現在の気候条件や今後のメンテナンスのしやすさを踏まえながら、必要な範囲で板金補修を行い、長く安心できる状態に整えています。

屋根上で見つけた蜂の巣 ── 現場の判断力

外壁 ハチの巣発見

屋根まわりの作業中には、少し印象的な出来事もありました。屋根を直しているとき、どこからか「ぶんぶん」と音がしていたため、念のため周辺を覗いてみたところ、蜂の巣がありました。特に自然の近い別荘地では、虫や小動物が建物の隙間に入り込んでいることも珍しくありません。今回はちょうど寒波の時期だったこともあり、蜂はすでに死んでおり、危険な状況ではありませんでした。そのため、大掛かりな駆除ではなく、巣の撤去と安全確認を行った上で作業を進めています。

寒波と工事中断 ── 「止める判断」の大切さ

今回の工事期間は1月から4月上旬にかけて。そのため、冬の厳しさとも向き合いながら進める現場でした。特に印象に残っているのが寒波の時期です。

寒波

寒波 工事中断

雪が降り、道路状況が悪くなり、資材の搬入や職人の移動にも影響が出る日がありました。現場仕事は、どうしても工程だけでは割り切れない部分があります。「今日やりたい」「予定通り進めたい」という気持ちがあっても、安全に作業できる状況でなければ意味がありません。

今回は安全を最優先に考え、やむを得ず工事を中断する判断もしました。工期だけを見れば止めない方が良いようにも思えますが、長い目で見れば「無理をしない」という判断もまた、良い工事のためには欠かせないものです。結果的に、この判断があったからこそ、事故なく、品質を落とさず、最後までしっかり工事を進めることができたと思っています。

外壁の色 ── 施主様のイメージから絞り込む

外壁 施主イメージ

外壁の色決めは、いきなり色を決めるのではなく、まず施主様のイメージを丁寧に読み取るところから始めています。外壁の色は、木部や焼杉との相性、屋根とのバランス、周囲の自然環境、朝と夕方での見え方、晴れの日と曇りの日の印象まで含めて考える必要があります。

外壁 イメージ選定

ここは地味なようでいて、実は完成後の印象を大きく左右する部分です。同じ「ベージュ」や「グレー」でも、わずかな差で建物の見え方は大きく変わります。特に別荘のような建物は、周囲の緑や空、影との関係で色が見えるため、室内でサンプルを見るだけでは判断しにくいこともあります。

塗装工程 ── 洗浄→補修→塗装の順番を守る

塗装工程についても、単に色を付けるだけの作業ではありません。今回は洗浄→補修→塗装という順番で進めています。

洗浄は、表面についた汚れや、古い塗膜の弱い部分、ホコリ、コケなどを落とすための大切な工程です。ここが甘いままだと、新しい塗料がしっかり密着せず、将来的な剥がれやムラの原因になります。

外壁 穴補修

次に補修。外壁の穴や欠け、小さな傷みをそのまま塗ってしまうと、見た目は一時的に隠れても、あとから再び表面に出てきたり、水の侵入口になったりすることがあります。今回はまず補修を丁寧に行い、下地として安定した状態に整えてから塗装へ進んでいます。

外壁 塗装完了

そして塗装。しっかり洗浄し、必要な補修を行った上で塗装を重ねることで、見た目の美しさだけでなく保護性能も高めていきます。外壁塗装には、防水性を補う役割、紫外線から建材を守る役割、汚れを付きにくくする役割などがあります。

焼杉 ── 二面だけに張る、というバランス

外壁 焼杉張



今回の外壁で印象を大きく変えているのが、二面に施工した焼杉です。使用したのは天竜木材。地元の木材としての安心感だけでなく、質感の良さ、表情の美しさ、そしてこの建物との相性の良さがありました。焼杉は、木の表面を焼いて炭化させることで耐久性を高めた材料です。炭化層によって防虫性・防腐性・耐候性が期待でき、昔から外装材として用いられてきた実績もあります。

今回は二面に焼杉を張ることで、建物全体の印象を引き締めました。全面を焼杉にする方法もありますが、塗装面との切り替えをつくることで、重くなりすぎず、でもしっかりと存在感のある外観に仕上がります。

外観の完成 ── 電球色の照明で夜の表情まで整える

外観 完成

外部照明については、外部ライトを電球色で統一しました。白い光は明るさがしっかり出る反面、別荘の落ち着いた雰囲気とは少しズレてしまうことがあります。そのため今回は、建物全体の素材感や焼杉の落ち着いた表情に合わせて、少し温かみのある光を選びました。電球色の照明によって、夜の外観は昼とは違う、やわらかく上品な印象になっています。

仮玄関とDIY ── 施主様と一緒につくった現場

仮玄関

工事中は仮玄関を使っていただく期間もありました。こうした大規模な改修では、どうしても普段通りに使えない期間が出てきます。住まわれる方にとっては負担も大きい中で、工事にご理解いただき、ご協力いただけたことは本当にありがたかったです。

また、今回の工事全体を通して印象的だったのは、施主様が「自分でも関わりたい」という気持ちを持ってくださっていたことです。階段の立ち上がりタイルのように、DIYで参加していただいた部分もありました。安全性と性能を守るべきところはきちんとプロが担保しながら、その家に住む方の思い出や関わりをどう残せるかも、大切な要素だと考えています。

工事全体の振り返り ── 「見た目の変化」と「見えない中身の改善」

今回の工事を振り返ると、部位ごとに「見た目の変化」と「見えない中身の改善」が常にセットになっていたことが分かります。仕上げの美しさは、下地・防水・断熱・配線といった見えない部分の工事に支えられている。これが今回のリノベーション全体を貫く考え方でした。

解体編 ── 再生のための土台づくり

解体前 全景

解体後 玄関

解体によって建物の状態を正しく把握し、どこを残し、どこを直し、どこを新しくするかを整理できました。解体は単なる撤去ではなく、再生のための土台づくりです。

浴室・脱衣室編 ── 空間の広がりと特別感を両立

浴室 荒内
浴室 完了

ユニットバスではなく、現地寸法を最大限活かした在来浴室とすることで、空間の広がりと別荘らしい特別感を両立しました。ヒノキと十和田石の浴槽、黒を基調とした落ち着いた仕上げ、間接照明、暖房設備、ガラス戸、除湿設備など、一つひとつの選択が「温泉のような空間」へつながっています。

RC下地編 ── 快適性と耐久性を支える工夫

壁 スクリューパッキン
壁下地

RCの壁に対して直貼りではなく、スクリューパッキンで懐を確保することで、断熱材の施工、配線経路の調整、通気層の確保を実現しました。

キッチン・リビング・暖炉 ── 残すものと変えるもの

解体前 キッチン
キッチン 完成

解体前 リビング




暖炉 塗装完了

グラフテクトのⅡ型キッチン、床を約20cm上げたリビング、ケレンと塗装で再生した暖炉。新しく作り替えるのではなく、良さを残しながら再生するという今回の工事の考え方が、もっとも表れている部分です。

洗い出し床・外壁 ── 細部と全体のバランス

洗い出し床 荒打ち
洗い出し床 荒打ち
洗い出し床 ライトアップ
外壁 施主イメージ
外壁 塗装完了

大きめの石と間接照明で仕上げた洗い出し床、洗浄・補修・塗装の三段階で仕上げた外壁、そして二面に張った焼杉。細部と全体のバランスが整うことで、建物全体の完成度が上がっていきました。

今回の工事を支えた「設計思想」

最後に、今回の工事を通して一貫していた考え方をまとめておきます。素材の組み合わせ、別荘ならではの注意点、そして今後のメンテナンスまで。完成した姿の裏にある「なぜそう作ったか」の部分です。

床を上げたことの意味 ── 完成後10年・20年を見据えて

今回の工事で床を約20センチ上げたことは、見た目の変化以上に大きな意味を持っています。床を上げることで断熱材を十分に入れられるようになっただけでなく、それ以上に大きいのは「将来の手入れがしやすくなる」という点です。今回は置床で内部に空間を確保したことで、配管や配線を通しやすくなっただけでなく、今後の点検や更新にも対応しやすい構造になっています。

別荘ならではの備え ── 湿気と温度差への対策

別荘ならではの注意点として、今回特に意識したのは、湿気と温度差への備えです。常に人が住んでいる住宅であれば、換気や暖房、日常の動きの中である程度空気が動きます。しかし別荘は、使わない時期にどうしても空気が滞留しやすく、湿気が抜けにくい状況になります。今回の工事でスクリューパッキンやカライエ、置床の空間、RC壁との間の通気、床下の断熱を重視しているのは、こうした別荘特有の環境を前提にしているからです。

「施工のしやすさ」より「完成後の良さ」を優先

今回の工事では、「施工のしやすさ」よりも「完成後の良さ」を優先した場面がいくつもありました。在来浴室はその典型ですし、床を上げて内部に空間を持たせたこと、RC壁に対して直貼りではなく下地を組んだこと、暖炉を残して再生したこと、二面だけ焼杉を張ったこともそうです。工事は常に「何ができるか」ではなく、「何が合っているか」で考えるべきだと思っています。

沼津市足高で別荘リノベーションを検討される方へ

最後に、今回の現場がある沼津市足高エリアで別荘のリノベーションを検討されている方に向けて、このエリアの特性と、別荘リノベを考えるうえで押さえておきたいポイントをまとめておきます。

沼津市足高というエリア ── 首都圏からアクセスしやすいゴルフ別荘地

今回の現場がある沼津市足高は、駿河湾を見下ろし、愛鷹山麓と富士山を望む丘陵地にあります。すぐ近くには27ホールの沼津ゴルフクラブがあり、東名高速道路・沼津ICから車でわずか数分、新東名高速道路・長泉沼津ICからも5km以内という好立地です。東京からは東名高速で1時間弱、新幹線三島駅からも車で20分ほどと、首都圏からのアクセスに優れた別荘地として長く親しまれてきました。

実際、ゴルフや海、富士山の景観を楽しむために、このエリアに別荘を構える方は少なくありません。今回のように築50年を超える別荘も珍しくなく、「古くなってきたから建て替えるか、リノベーションするか」で悩まれる方は、年々増えている印象です。

沼津エリアの別荘リノベーションで押さえたい3つのポイント

沼津市足高のような別荘地で、築年数の経った別荘をリノベーションする際に、当社が特に大切にしている3つのポイントをご紹介します。

1. 湿気と温度差への備えを前提に設計する

別荘は使用しない期間が長いため、普段の住宅以上に湿気がこもりやすく、夏と冬の温度差も受けやすい建物です。断熱材・防水・通気層・除湿設備を、一般的な住宅リフォームよりも一段踏み込んで検討することが、数年後・数十年後の快適さを左右します。

2. 下地・配管・構造の劣化を「解体してから」判断する

築30〜50年を超える別荘では、表面がきれいでも、内部の下地・配管・断熱が当時のまま残っているケースがほとんどです。今回のように解体してから状態を確認し、必要な部分だけに手を入れていく柔軟な工事計画のほうが、結果的にコストも無駄がなく、仕上がりの品質も安定します。

3. 将来のメンテナンスを見越した納まりにする

別荘は「使っているうちに直す」のではなく「次に来たときに快適に使える」ことが大切です。置床で床下に余裕を持たせる、配線経路に遊びを持たせる、分電盤を点検しやすい造作で隠す。こうした一見地味な工夫が、10年後・20年後の手入れのしやすさにつながります。

費用感について

今回の工事費用は、約2,000万円(税込)でした。これはフルリノベーションに近い内容(浴室・キッチン・リビング・外壁・屋根・下地・断熱すべて)で、ヒノキ+十和田石の高級浴槽、さくらの無垢フローリング、焼杉外壁など、素材にもしっかり予算を充てているためです。同じ沼津エリアの別荘でも、工事範囲や素材の選び方で費用は大きく変わります。ご希望の範囲と予算感を伺ったうえで、最適なご提案をさせていただきます。

おわりに ── 「この家らしさ」を取り戻す工事

写真を振り返ると、解体前のどこか寂しげな雰囲気から、完成後の落ち着きと温かみのある表情へと、大きく変わっていることが分かります。ただ、その変化は一瞬で起きたわけではありません。解体し、確認し、補修し、下地を整え、防水し、断熱し、配線を計画し、素材を選び、照明を考え、納まりを詰め、最後にひとつずつ仕上げていく。そうした積み重ねの先に、ようやく完成があります。

今回の別荘工事は、決して簡単な内容ではありませんでした。築50年を超える別荘ということで、解体して初めて見えてくることも多く、構造、下地、防水、断熱、設備、納まり、どれもひとつずつ確認しながら進める必要がありました。それでも、施主様の「こうしたい」という思いがはっきりしていたこと、そしてその思いに対して職人が丁寧に応えていけたことが、今回の工事を良いものにしてくれたと思います。

何より、この建物は工事によって単に新しくなったのではなく、「この家らしさ」を取り戻したように感じています。暖炉があり、木と石があり、温泉のような浴室があり、光がやわらかく回る玄関がある。新築ではつくれない空気感と、今の暮らしに合う機能性がひとつになった別荘になりました。



沼津市足高をはじめ、沼津・三島・伊豆エリアで別荘のリノベーションをご検討の方は、ぜひお気軽にニラスイホームへご相談ください。現地調査・ご相談・お見積りは無料です。首都圏からお越しのオーナー様には、スケジュールを合わせてのオンライン打ち合わせにも対応しております。

 

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