ノンアスベスト屋根は塗装で大丈夫なのか? 〜正しいメンテナンス方法とは〜
さまざまな種類がある屋根材には、軽量で燃えにくいものや、耐震性に優れたものなど、特徴が異なる製品が多く存在します。その中でもかつて広く使用されていたのが「アスベスト」です。アスベストは耐火性や耐震性に非常に優れており、国内外で多くの建築物に採用されていました。
時代は流れ、その高い機能性とは裏腹に、アスベストには深刻な健康被害を引き起こすリスクがあることが判明し、現在では世界的に使用が禁止されています。日本においても、かつては一部の建築材にアスベストが使用されていましたが、その後は「ノンアスベスト」製品が開発され、多くのメーカーで施工が進められるようになりました。
しかし、ノンアスベスト製品が普及し始めた1990年代半ばから2000年代半ばにかけて製造されたスレート屋根には、割れや欠け、反り上がりなどの問題が多発しています。
そこで、本記事ではノンアスベスト屋根の特徴や課題を詳しく解説し、適切なメンテナンス方法をお伝えします。さらに、実際の施工事例もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
1.ノンアスベスト屋根とは?
「ノンアスベスト屋根」とは、アスベストを含まないスレート屋根のことです。スレート屋根はセメントを固めて作られており、かつては強度を高める目的でアスベストが添加されていました。しかし、アスベストが発がん性物質であることが判明し、その使用が問題視されるようになりました。これを受けて、アスベストを使用しない屋根材が開発され、それが「ノンアスベスト屋根」と呼ばれるものです。
1-1.アスベスト含有のスレート屋根の特徴
アスベスト(石綿)は天然の鉱物繊維で、熱や摩擦、酸・アルカリへの耐性が高く、非常に丈夫で安定した素材です。この特性により、アスベストを含むスレートは耐久性が高く、スレート屋根の弱点を補う役割を果たしていました。
しかし、アスベストが健康に有害であることが明らかになり、2004年からは1%以上のアスベストを含む製品の製造・出荷が原則禁止となりました。その結果、アスベストを含むスレート屋根は市場から姿を消しました。
2004年以降に建てられた住宅では、アスベスト含有スレート屋根が使用されている可能性はほとんどありません。一方、2004年以前の住宅ではアスベスト含有のスレート屋根が使われている可能性があります。
アスベストが含まれる屋根材でも、破損しない限りは大きなリスクはないとされています。ただし、屋根の劣化や雨漏りが発生している場合は注意が必要です。リフォーム時にはアスベスト含有材の扱いが難しいため、専門業者に依頼して適切な診断と対応を受けることが重要です。
しかし、アスベストが健康に有害であることが明らかになり、2004年からは1%以上のアスベストを含む製品の製造・出荷が原則禁止となりました。その結果、アスベストを含むスレート屋根は市場から姿を消しました。
2004年以降に建てられた住宅では、アスベスト含有スレート屋根が使用されている可能性はほとんどありません。一方、2004年以前の住宅ではアスベスト含有のスレート屋根が使われている可能性があります。
アスベストが含まれる屋根材でも、破損しない限りは大きなリスクはないとされています。ただし、屋根の劣化や雨漏りが発生している場合は注意が必要です。リフォーム時にはアスベスト含有材の扱いが難しいため、専門業者に依頼して適切な診断と対応を受けることが重要です。
1-2.ノンアスベストの屋根(2000年前後製造品)の特徴
アスベストの使用が廃止された1990年代半ばから2000年代半ばにかけて製造されたノンアスベストのスレート屋根には、耐久性や品質面での課題が多く見られます。
アスベストはセメントに粘り気を与え、耐久性を向上させる役割を果たしていました。しかし、ノンアスベストスレートにはその粘り気がないため、非常にもろいというデメリットがあります。結果として、アスベスト含有スレートが約30年の耐用年数を持つのに対し、ノンアスベストスレートは15〜20年程度と耐久性が短いのが特徴です。
ノンアスベストへの移行初期に製造されたスレート屋根では、割れや欠け、反り上がりといったトラブルが頻発し、社会問題にもなりました。よってノンアスベストのスレート屋根は、通常よりも早い段階での修繕やリフォームが必要になるケースが多いです。
この時期に発売された主なノンアスベストの屋根材には以下のようなものがあります。
【コロニアルNEO】
コロニアルNEOは、アスベスト規制により販売終了となった「ニューコロニアル」の後継として開発されたノンアスベストのスレート屋根材です。2001年から2008年にかけて約7年間販売され、全国の戸建て住宅の屋根に広く採用されました。その後「コロニアルクァッド」が次世代製品として登場しました。
【ザルフ】
ザルフは、1997年から2006年まで販売されていたスレート屋根材です。また、その高耐候仕様として「ザルフグラッサ」もラインナップされていました。2001年以降に製造・販売されたものはアスベストを含まないノンアスベスト製品で、施工後8〜10年を過ぎると劣化が目立つ傾向があります。
【レサス】
レサスは、KMEW(旧松下電工)が1999年から2006年にかけて製造・販売していたノンアスベストスレート屋根材で、ピュアベスト(900シリーズ)とも呼ばれます。細かく分類すると複数の種類がありますが、いずれもアスベスト規制後のノンアスベスト製品として開発されました。しかし、耐久性に問題があり、施工後にさまざまな不具合が報告されています。
【セキスイかわらU】
セキスイかわらUは、瓦を模した圧型スレート(セメント瓦)で、軽量かつ高い強度を持ち、屋根カバー工法に対応可能な屋根材です。1990年にノンアスベスト仕様が登場しましたが、製品寿命が短く、剥がれや割れなどのトラブルが相次ぎました。このため、2007年に販売が中止されています。
【パミール】
パミールは、1996年から2008年まで製造・販売されていたスレート屋根材です。耐久性が著しく低く、施工から7年程度で劣化が始まり、10年後には屋根材がボロボロになるケースが多発しています。
アスベストはセメントに粘り気を与え、耐久性を向上させる役割を果たしていました。しかし、ノンアスベストスレートにはその粘り気がないため、非常にもろいというデメリットがあります。結果として、アスベスト含有スレートが約30年の耐用年数を持つのに対し、ノンアスベストスレートは15〜20年程度と耐久性が短いのが特徴です。
ノンアスベストへの移行初期に製造されたスレート屋根では、割れや欠け、反り上がりといったトラブルが頻発し、社会問題にもなりました。よってノンアスベストのスレート屋根は、通常よりも早い段階での修繕やリフォームが必要になるケースが多いです。
この時期に発売された主なノンアスベストの屋根材には以下のようなものがあります。
代表的な商品名 | メーカー名 | 耐久性の目安 | よくあるトラブル |
コロニアルNEO | クボタ(現KMEW) | 20年前後 | 割れ・欠け |
ザルフ | クボタ(現KMEW) | 20年前後 | 割れ・欠け |
レサス | 松下電工(現KMEW) | 20年前後 | 割れ・欠け |
セキスイかわらU | セキスイルーフテック (旧積水屋根システム) |
15年前後 | 割れ・欠け |
パミール | ニチハ | 15年前後 | 層間剥離 |
【コロニアルNEO】
コロニアルNEOは、アスベスト規制により販売終了となった「ニューコロニアル」の後継として開発されたノンアスベストのスレート屋根材です。2001年から2008年にかけて約7年間販売され、全国の戸建て住宅の屋根に広く採用されました。その後「コロニアルクァッド」が次世代製品として登場しました。
【ザルフ】
ザルフは、1997年から2006年まで販売されていたスレート屋根材です。また、その高耐候仕様として「ザルフグラッサ」もラインナップされていました。2001年以降に製造・販売されたものはアスベストを含まないノンアスベスト製品で、施工後8〜10年を過ぎると劣化が目立つ傾向があります。
【レサス】
レサスは、KMEW(旧松下電工)が1999年から2006年にかけて製造・販売していたノンアスベストスレート屋根材で、ピュアベスト(900シリーズ)とも呼ばれます。細かく分類すると複数の種類がありますが、いずれもアスベスト規制後のノンアスベスト製品として開発されました。しかし、耐久性に問題があり、施工後にさまざまな不具合が報告されています。
【セキスイかわらU】
セキスイかわらUは、瓦を模した圧型スレート(セメント瓦)で、軽量かつ高い強度を持ち、屋根カバー工法に対応可能な屋根材です。1990年にノンアスベスト仕様が登場しましたが、製品寿命が短く、剥がれや割れなどのトラブルが相次ぎました。このため、2007年に販売が中止されています。
【パミール】
パミールは、1996年から2008年まで製造・販売されていたスレート屋根材です。耐久性が著しく低く、施工から7年程度で劣化が始まり、10年後には屋根材がボロボロになるケースが多発しています。
1-3.2006年以降製造のノンアスベスト屋根の特徴
2006年以降に製造されたノンアスベストスレート屋根は、それ以前の製品に見られた不具合を改善するため、耐久性を向上させた設計が施されています。この改良により品質は大幅に向上しましたが、アスベストを含む製品には及ばない点もあります。
施工後10年程度で屋根機能に影響はないものの、軽微な反りが発生するケースが見られます。耐用年数は20〜25年程度とされ、築20年を過ぎた頃には本格的な改修工事を検討する必要があります。
施工後10年程度で屋根機能に影響はないものの、軽微な反りが発生するケースが見られます。耐用年数は20〜25年程度とされ、築20年を過ぎた頃には本格的な改修工事を検討する必要があります。
2.ノンアスベスト屋根に塗装はできない
ノンアスベスト屋根は耐久性が低く、割れや欠けが発生しやすいという特性があります。その寿命は短く、ひび割れや欠けといった劣化症状が発生した屋根に対して塗装を行うことは推奨されません。
塗装の目的は通常、屋根の防水性や耐久性を向上させることですが、ノンアスベスト屋根では塗装が劣化を悪化させるケースが多く、かえって寿命を縮めてしまう可能性があります。加えて、塗装をしても雨漏りなどの機能改善にはつながらないため、特別な事情がない限り、塗り替えはおすすめできません。
塗装の目的は通常、屋根の防水性や耐久性を向上させることですが、ノンアスベスト屋根では塗装が劣化を悪化させるケースが多く、かえって寿命を縮めてしまう可能性があります。加えて、塗装をしても雨漏りなどの機能改善にはつながらないため、特別な事情がない限り、塗り替えはおすすめできません。
2-1.割れや欠けが生じやすいから塗装では改善できない
1990年代半ばから2000年代半ばに製造された初期のノンアスベスト屋根は、10年程度で寿命を迎える製品が多く、塗り替えをしても根本的な解決にはなりません。ひび割れたスレートに塗料を塗布しても、塗料が割れた部分に十分に入り込むことは難しく、劣化が進む可能性が高まります。その結果、塗装後も割れや欠けが広がり続けるケースが見受けられます。
2-2.塗装の施工中に屋根を踏み割ってしまう
ノンアスベスト屋根は構造的に非常にもろく、人が歩く際の重みに耐えられない場合が多くあります。特に劣化が進んだ屋根では、塗装作業中に屋根が破損するリスクが極めて高く、作業自体が危険です。このため、塗装のために人が屋根に乗ること自体が、さらなるダメージを引き起こしかねません。
3.ノンアスベスト屋根は「葺き替え」か「屋根カバー工法」がおすすめ
ノンアスベスト屋根のリフォームには、「葺き替え工事」と「屋根カバー工法」の2つの選択肢があります。塗装が適さないため、これらの方法で屋根の耐久性や機能性を回復させるのが効果的です。
「葺き替え工事」は、既存の屋根材を完全に撤去し、新しい屋根材を施工する方法です。屋根全体を新しくするため、劣化や雨漏りのリスクを根本から解消できます。一方の「屋根カバー工法」は、現在の屋根の上に新しい軽量屋根材を重ねて施工する方法です。屋根を二重構造にすることで、遮音性や断熱性が向上します。
それぞれの方法は、屋根の劣化状態や建物の使用予定期間に応じて適切な選択をすることが重要です。
「葺き替え工事」は、既存の屋根材を完全に撤去し、新しい屋根材を施工する方法です。屋根全体を新しくするため、劣化や雨漏りのリスクを根本から解消できます。一方の「屋根カバー工法」は、現在の屋根の上に新しい軽量屋根材を重ねて施工する方法です。屋根を二重構造にすることで、遮音性や断熱性が向上します。
それぞれの方法は、屋根の劣化状態や建物の使用予定期間に応じて適切な選択をすることが重要です。
4.ノンアスベスト屋根の葺き替えの方法と費用目安
葺き替え工事では、既存の屋根材を完全に剥がし、新しい屋根材に交換します。これによりルーフィング(防水シート)や傷んだ野地板も交換可能で、屋根全体をしっかりと修復できます。特に、耐久性を重視したい方や長期的なメンテナンスの不安を解消したい方におすすめです。
既存の屋根材にアスベストが含まれている場合は、撤去および処分費用が追加でかかります。ただし、これまでに述べてきたパミールやコロニアルNEOのような初期のノンアスベスト屋根材の場合は処分費用が抑えられるため、葺き替えが比較的手頃な選択肢となります。
ノンアスベスト屋根の葺き替え工事費用は、屋根の材質や形状により異なりますが、撤去、処分、野地板貼り、新規スレート葺き、材料、工事費用込みで約18,000円~23,000円/㎡(税込)となります。
既存の屋根材にアスベストが含まれている場合は、撤去および処分費用が追加でかかります。ただし、これまでに述べてきたパミールやコロニアルNEOのような初期のノンアスベスト屋根材の場合は処分費用が抑えられるため、葺き替えが比較的手頃な選択肢となります。
ノンアスベスト屋根の葺き替え工事費用は、屋根の材質や形状により異なりますが、撤去、処分、野地板貼り、新規スレート葺き、材料、工事費用込みで約18,000円~23,000円/㎡(税込)となります。
4-1.屋根カバー工法とは?
屋根カバー工法では、既存のノンアスベスト屋根の上に新しい軽量屋根材を重ねて施工します。この方法では既存屋根を撤去しないため、工事期間が短縮され、廃材処理費用も削減できます。また、屋根が二重になることで遮音性や断熱性が向上するメリットもあります。
カバー工法は、劣化が比較的少なく、下地が健全な状態である場合に適しています。また、工事が簡単で1日で完了することもあり、手軽さも大きな魅力です。
カバー工法の費用は、使用する屋根材や工事規模により異なりますが、約11,000円~16,500円/㎡(税込)となります。
ノンアスベスト屋根のリフォームには専門知識が必要です。信頼できる業者に依頼し、屋根の状態を正確に診断してもらうことが成功のカギです。当社では、多数の屋根リフォーム実績を持ち、カバー工法においても豊富な施工経験があります。
>>屋根リフォームにカバー工法が最適!そのメリットと施工事例はこちら
カバー工法は、劣化が比較的少なく、下地が健全な状態である場合に適しています。また、工事が簡単で1日で完了することもあり、手軽さも大きな魅力です。
カバー工法の費用は、使用する屋根材や工事規模により異なりますが、約11,000円~16,500円/㎡(税込)となります。
ノンアスベスト屋根のリフォームには専門知識が必要です。信頼できる業者に依頼し、屋根の状態を正確に診断してもらうことが成功のカギです。当社では、多数の屋根リフォーム実績を持ち、カバー工法においても豊富な施工経験があります。
>>屋根リフォームにカバー工法が最適!そのメリットと施工事例はこちら
5.ノンアスベスト屋根にカバー工法を採用するメリット
ノンアスベスト屋根のリフォーム方法として、カバー工法を選ぶことで得られる主なメリットは以下の2点です。
5-1.廃棄物がでないため廃棄費用がかからない
カバー工法では既存の屋根材や防水紙を撤去せず、その上から新しい屋根材を施工します。このため、廃棄物処理費用が発生せず、葺き替え工事と比べて工事全体の費用を抑えることが可能です。
5-2.新品の屋根材でカバーするため耐久性が高い
既存のノンアスベスト屋根材の上に新しい屋根材を重ねることで、雨風や紫外線などの外的ダメージから屋根を守る耐久性が大幅に向上します。特に、経年劣化による雨漏りが発生している場合でも、カバー工法で新しい屋根材を施工することで、雨漏りを効果的に防ぐことができます。
【この記事のまとめ】
三島市でのノンアスベスト屋根のリフォームを検討中の方へ
ノンアスベスト屋根は、当時のコストの安さから広く普及していましたが、その耐久性の低さから、早期にメンテナンスが必要になるケースが多く見られます。もしお住まいの屋根がノンアスベストのスレート屋根であれば、塗り替えによるメンテナンスは十分な効果を得られない場合が多いため、推奨されません。
その代わりに、カバー工法を採用することで、割れや欠けの多い屋根材を保護し、屋根の寿命を延ばすとともに、安全で快適な住環境を確保できます。
リフォームを検討する際は、ノンアスベスト屋根の特性を理解し、知識と経験を持つ信頼できる業者に相談することが何よりも重要です。現在の屋根材の状況や劣化の程度を正確に把握したうえで、最適な施工方法を選ぶようにしましょう。
もしご自宅の屋根がノンアスベスト屋根かどうか判断できない場合や、リフォームに関するご相談がある場合には、ぜひ「ニラスイホーム」にお問い合わせください。私たちが豊富な経験と実績で、最適な解決策をご提案いたします。
その代わりに、カバー工法を採用することで、割れや欠けの多い屋根材を保護し、屋根の寿命を延ばすとともに、安全で快適な住環境を確保できます。
リフォームを検討する際は、ノンアスベスト屋根の特性を理解し、知識と経験を持つ信頼できる業者に相談することが何よりも重要です。現在の屋根材の状況や劣化の程度を正確に把握したうえで、最適な施工方法を選ぶようにしましょう。
もしご自宅の屋根がノンアスベスト屋根かどうか判断できない場合や、リフォームに関するご相談がある場合には、ぜひ「ニラスイホーム」にお問い合わせください。私たちが豊富な経験と実績で、最適な解決策をご提案いたします。